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法改正情報出生時育児休業制度-
社会保険料や給付について

2022年9月26日

「出生時育児休業制度」が令和4年10月1日より始まります。令和4年4月1日から改正育児・介護休業法の施行が段階的に始まっていますが、その中でも目玉といえる制度です。

新制度が開始すると申請期限の短縮や、2回に分けての取得や、休業中の就労も可能になるなど、より柔軟にそれぞれの状況に合わせた計画が立てられるようになります。

今回は、男性向けの産休として注目されている出生時育児休暇制度についてわかりやすく解説します。企業の総務・労務担当者のみなさんは、従業員へのご案内にお役立てください。

出生時育児休業制度

出生時育児休業とは

男性の育児休業取得を促進するために、育児・介護休業法が改正され順次施行されていますが、その一環として新設されたのが出生時育児休業です。

これまで、お子さんの出生時に男性が取得できるのは、育児休暇のみでした。しかし出生時育児休業では、通常の育児休業とは別に、子の出生後8週間のうち4週間まで育児休業をとれるようになります。

女性の「産後休業」として定められているのは「産前6週間以内・産後8週間以内」です。そのため「出生時育児休業」は、主に男性のための制度という趣旨になります。

現行法でも、男性の育児休業取得を促す「パパ休暇」制度がありますが、改正後の「出生時育児休業」は現行法の制約が大きく緩和されたものです。

「出生時育児休業制度」の制定によって、男性が育児休業を取りやすくなり、男性の育児参加が促進されることが期待できます。なお、この改正により現行法の「パパ休暇」制度はなくなります。

出生時育児休業、改正のポイントは

「出生時育児休業」制度について、現行の制度から改正される箇所など、押さえておくべき3つのポイントがあります。

  1. (1)申請期限を休業開始の2週間前までに短縮
  2. (2)2回までの分割取得が可能
  3. (3)労使協定+個別の労使の合意があれば休業中の就労も可能

    1つずつ見ていきましょう。

(1)「 申請期限を休業開始の2週間前までに短縮」


育児休業の申請は、従来は休業開始の原則1ヶ月前までに行う必要がありました。改正後は原則2週間前までに短縮されます。

(2)「2回までの分割取得が可能」


「出生時育児休業」は、必ずしも4週間連続でとる必要はなく、2回まで分けて取ることが可能です。そのため、妻の出産直後に2週間休業して一旦職場復帰し、妻の産後休業が終わるまでに改めて2週間休業する、といった休み方ができるようになります。

(3)「労使協定+個別の労使の合意があれば休業中の就労も可能」


「出生時育児休業」中に限り、次の条件を満たせば就業が可能になります。

  • ・労使協定を締結していること
  • ・出生時育児休業を取得する労働者と会社との間に個別の合意があること
  • ・就業日数・就業時間数は、休業期間中の所定労働日数の合計・所定労働時間数の合計のそれぞれ半分を上限とすること
  • ・休業開始日・終了日を就業日とする場合、当該日の就業時間は所定労働時間未満とすること

 


【例】所定労働時間および日数が1日8時間、週5日の労働者が4週間休業する場合

↓↓↓

【休業中に就労できる時間数・日数】=80時間・10日が限度


また、休業開始日および終了日に就業する場合は、その日の就業時間は8時間より少ない時間を設定する必要があります。


上記の範囲内で、従業員が就業条件を申し出ることにより、労使間(労働者と使用者)で就業条件を協議の上決定します。

出生時育児休業中の社会保険料の取り扱い


「出生時育児休業」制度の導入に合わせて、育児休業にかかる社会保険料免除の取り扱いも変わります。改正となる部分は「同月内に開始・終了する育児休業の取り扱い」と、「賞与の取り扱い」です。

同月内に開始・終了する育児休業の取り扱いについて


月末時点で育児休業を取っていれば社会保険料は免除されますが、育児休業の開始日・終了日が同じ月内にある場合、現行法では終了日が月末でなければ社会保険料は免除されません。

これまでは育児休業を1ヶ月近くとったとしても、月末に復帰してしまえば社会保険料免除の恩恵に預かれませんでした。

その不合理を解消するため、出生時育児休業では同月内に開始・終了する育児休業の場合、連続して2週間以上(就業日は除く)あれば免除を受けられることになりました。

【例】

  • ・10/20開始~11/02終了、11/03日復帰→(現行)社会保険料免除あり→(改正)免除あり
  • ・10/12開始~10/25修了、10/26日復帰→(現行)社会保険料免除なし→(改正)免除あり

賞与の取り扱いについて


育児休業が月末にかかるか否かを問わず、休業期間が1ヶ月を超える育児休業においてのみ、賞与についての社会保険料が免除となります。そのため、出生時育児休業中に支給される賞与については、その後続けて通常の育児休業を取得するのでない限り、社会保険料は免除されません。

これらの取り扱いは、令和4年10月1日より適用となります。

出生時育児休業給付について


「出生時育児休業」の期間については、「出生時育児休業給付」が受けられます。

出生時育児休業給付の支給条件


この給付を受けられる基本的な条件は、下記の通りです。

  1. 1.育児休業開始前2年間のうち、11日以上の賃金支払基礎日数がある月(11日以上勤務した月)(※)が通算12ヶ月以上あること※月の途中で入社・退職・休業した月は除く
  2. 2.1の期間について、雇用保険被保険者であること
  3. 3.休業日について、賃金等が支払われていないこと


3について、休業期間中に就業した場合、休業期間中の就業日または就業時間が月に10日または80時間を超えない場合※は給付が受けられます。

※28日の休業を取得した場合の日数

休業日数が28日より短い場合は、その日数に比例して就業日または就業日数の限度額が少なくなります。

出生時育児休業給付の支給金額


支給金額は、休業開始時賃金日額の67%となります。

「休業開始時賃金日額」=休業開始時前6カ月の賃金総額÷180です。

この「賃金総額」には、通勤費や時間外手当も含まれます。

男性の育児休業取得について早めの準備が肝心です


男性の育児休業取得の推進にともない、企業側からの従業員に対する取得促進が義務化されます。総務・労務担当者のみなさんは、従業員への案内に不備が出ないよう概要を早期に把握し、準備を整えておきましょう。

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