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法改正情報男性育児休業取得率の公表義務

2023年3月22日

令和4年4月・10月と段階的に施行されてきた改正育児介護休業法ですが、最終段階として令和5年4月から「男性の育児休業取得率の公表」が義務化されます。

常時雇用する労働者が1,000人を超える企業を義務化の対象とし、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表するものです。

2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要です。【厚生労働省サイト(PDF)】

男性育児休業取得率の公表義務

この記事では、この公表義務についてのポイントをまとめました。対象となる企業は限定されますが、一連の法改正における重要な柱のひとつとなります。

厚生労働省から計算例の資料が公開されていますので、本記事とあわせて、今後の業務へお役立ていただければ幸いです。

「育児休業平均取得日数」を公表する場合の公表・計算例について【厚生労働省サイト(PDF)】

 
(1)対象企業

常時雇用する労働者が、1,000人を超える企業が対象です。「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている次の労働者を指します。

  • 期間の定めなく雇用されている者
  • 契約期間の定めがある者または日々雇用される者のうち、過去1年以上引き続き雇用されている者または雇入れから1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

つまり、雇用契約期間が短い労働者であっても1年以上更新している場合、もしくは更新を何度も繰り返す見込みがある場合は「常時雇用する労働者」に含まれる点に注意が必要です。

所定労働時間や所定労働日数も問いません。たとえ月1回程度の出勤であっても、毎月必ず出勤しているようであれば、人数に含める必要があります。

 
(2)公表内容

公表する内容は「育児休業等の取得割合」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかです。これら「割合」は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)の実績にて算定します。

  1. 育児休業等の取得割合
    育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
  2. 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
    (育児休業等をした男性労働者の数+育児目的休暇制度を利用した男性労働者の数)÷ 配偶者が出産した男性労働者の数

<算定にあたっての注意事項>

  • 「育児休業等をした男性労働者の数」は、同一の子を養育するために取得した休業であれば、分割取得していても「1人」として計算します。出生時育児休業(産後パパ育休)と通常の育児休業とを1回ずつ取得した場合も同様です。 
  • 「配偶者が出産した男性労働者の数」は、公表前事業年度内に配偶者が出産したものをいいます。
  • 育児休業が複数年度にまたがる場合や分割取得をした場合においては、育児休業の開始日を含む事業年度(最初に育児休業を取得した日の属する事業年度)の人数に計上します。 
  • 「育児目的休暇制度を利用した男性労働者の数」は、小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度がある企業を対象とし、子の看護休暇はこの制度に含まれません。また、「育児目的休暇制度」と「育児休業」を同年度内に両方取得した男性労働者がいる場合、この休暇や休業が同一の子について取得したものであれば、男性労働者の人数は「1」とカウントします。

(3)公表方法

公表は、一般の方が閲覧できるよう、インターネットなど適切な方法で行う必要があります。最も簡便で現実的なのは、インターネットの利用でしょう。自社のホームページのほか、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」の活用も推奨されています。

両立支援のひろば(厚生労働省)

なお、公表は、公表前事業年度の終了日から3か月以内に行う必要があります。

(4)罰則等

2023年2月現在、明確な罰則規定はありません。しかし公表を怠った場合、行政指導や勧告の対象となることがあります。さらに、この勧告に従わなかった場合、企業名を公表される可能性も考えられます。企業名が公表されればイメージダウンにもつながりかねません。忘れずに公表を行いましょう。

 
今回施行される改正法の「公表」義務という点に、多少の抵抗感があるかもしれません。しかし、男性の育児休業取得率が低いからといって、ペナルティはありませんので、その点はご安心ください。この機会に、現在は努力義務となっている「育児目的休暇制度」の導入を検討するのもいいでしょう。

 
このたびの改正により、男性の育児休業等の利用状況について他社の動向を知ることができるようになります。公表義務対象となる企業はもちろん対象外である企業にとっても、今後の人事施策への一助となることでしょう。

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