キャストグローバル

MENU

法改正情報【2025年4月施行】育児・介護休業法の改正点は?
他の関連各法もあわせて整理

2024年12月27日

2025年4月より、改正育児・介護休業法がいよいよ施行されます。今回の改正は育児・介護休業法だけでなく、育児に関する他の法律についても併せて行われるため、すべてを把握することはなかなか大変です。

ここでは、2025年4月以降に施行される改正育児・介護休業法と、それに関係する各法の改正について整理します。

育児・介護休業法の改正点は?

1.法改正の背景

改正育児・介護休業法は2024年5月、改正次世代育成支援対策推進法とともに公布されました。今回の改正の背景には、少子高齢化が進む中、男女ともに仕事と育児・介護の両立を支援し、労働力の確保を図る目的があります。

そのため、柔軟な働き方の導入や育児休業の取得促進、仕事と育児・介護の両立に関する情報提供等によって労働環境の改善を図り、子育て世代の負担の軽減や介護離職の防止に繋げることを目指しています。

2.育児・介護休業法の改正内容

今回の改正は、大きく分けて「子育てをしながら就業している労働者に関するもの(①~⑤)」「育児休業取得状況の公表義務の拡大(⑥)」「介護離職防止に関するもの(⑦)」の3つです。

 

柔軟な働き方を実現するための措置を義務化【2025年10月1日施行】

事業主は、3歳~小学校就学前の子を育てる労働者のため、ⅰ.短時間勤務制度、ⅱ.始業時刻等の変更、ⅲ.テレワーク等(月10日)、ⅳ.保育設備の設置運営等、ⅴ.新たな休暇の付与(年10日)の5つから企業が2つ以上を選択し、対象者がそのうち1つを選択できるよう措置を講じることが義務付けられます。併せて、対象者への個別周知・意向確認を行うことも義務化されます。

 

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大【2025年4月1日施行】

  所定外労働の免除対象となる子の年齢が小学校就学前(現行は3歳)に引き上げられます。

 

育児のためのテレワーク導入の努力義務化【2025年4月1日施行】

3歳未満の子を育てる労働者がテレワーク勤務を選択できるようにすることが努力義務になります。

 

子の看護休暇の見直し【2025年4月1日施行】

「子の看護休暇」の対象となる子の範囲や対象労働者、取得理由が拡大され、それに伴い名称も「子の看護等休暇」に変更されます。

 対象となる子の範囲は、小学校3年生終了まで(現行は小学校就学始期)に拡大されます。

 現行は子の病気・けがや予防接種・健康診断に限られていた取得理由も、学級閉鎖対応や入園・入学式や卒園式等まで拡大されるため、利用範囲が広がります。

また、これまで労使協定により除外できるとされていた労働者の条件(雇用期間が6か月未満)も撤廃されるため、改正後に労使協定により除外できる労働者は、週の所定労働日数が2日以下の者のみとなります。

 

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化【2025年10月1日施行

事業主は、妊娠・出産の申し出があったときや子が3歳になる前に、当該労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が義務付けられます。

 

育児休業取得状況の公表義務企業の拡大【2025年4月1日施行】

現在は1,000人超の企業に義務付けられている育児休業取得状況の公表が、改正後は300人超の企業まで拡大されます。

 

介護離職防止のための個別周知・意向確認、雇用環境整備等の措置の義務化【2025年4月1日施行】

介護に直面した者への対応はもちろん、介護に直面していない一定の者に対する情報提供も義務付けられます。

  • 介護に直面した旨の申し出をした労働者への個別周知・意向確認
  • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での介護に関する両立支援制度等に関する情報提供
  • 介護を行う労働者へのテレワーク導入(努力義務)
  • 介護休暇について、労使協定に基づき雇用期間6か月未満の労働者を除外できる仕組みの廃止

3.関連各法の改正について

冒頭で触れた通り、2024年5月、改正育児・介護休業法と同時に、改正次世代育成支援対策推進法も公布されました。同年6月には改正子ども・子育て支援法も公布されています。これらについても整理しましょう。

改正次世代育成支援対策推進法

 

(1)次世代育成支援対策推進法の期限延長【2024年5月31日施行】

次世代育成支援対策推進法は2025年(令和7年)3月31日までの期間限定の法律(時限立法)ですが、この期限が10年延長され、2025年(令和17年)3月31日までとなりました。

  

(2)育児休業取得等に関する情報把握・数値目標設定の義務化【2025年4月1日施行】

100人超の企業に対し、育児休業取得等に関する状況把握や数値目標の設定が義務化されます(100人以下の企業は努力義務)

改正子ども・子育て支援法等

 

すべての子ども・子育て世帯への支援の強化・拡充、共働き・共育ての推進等を目的として行われるもので、子ども・子育て支援法のほか、関係各法を包括した改正法となっています。この中には、雇用保険法や医療保険各法など、実務に影響があるものが含まれます。ここでは実務に大きく影響するものとして、雇用保険法の給付についてご案内いたします。

 

(1)育児休業給付の給付率引上げ【2025年4月1日施行】

子の出生直後の一定期間内に夫婦それぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、従来の育児休業給付に加え、休業開始前賃金の13%相当額が最大28日分給付されます。この「一定期間」は、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内の期間です。

 

(2)育児時短就業給付の創設【2025年4月1日施行】

2歳未満の子を養育する被保険者が時短勤務をする場合に支給する「育児時短就業給付」が創設されます。支給率は時短勤務中の賃金の10%ですが、時短勤務開始時の賃金の90%以上の賃金が支払われた月については減額されます。

そのほか、2026年4月には、子ども・子育て支援金制度の創設に伴う医療保険者の費用負担、被保険者等への賦課・徴収についても定められます。

 

ここまで見てきたように、今回の改正は範囲が広く、就業規則や育児・介護に関する社内制度の見直しなどの対応が急務です。

また、従業員への情報提供もこれまで以上に重要となります。この機会に社内制度を整備し、仕事と育児・介護を安心して両立できる職場づくりを進めましょう。

育休相談窓口の代行なら「社会保険労務士法人 キャストグローバル」へ

当法人では従業員様が円滑に育児休業を取得して頂けるよう、育児休業の相談窓口および弊所オリジナル動画による個別周知・意向確認の代行サービスを行っております。専門知識を持った社労士事務所に相談窓口をお任せいただければ、ネットで調べたり各行政機関へ問い合わせる手間がなくなり、従業員様にも専門家へ相談できるという安心感が生まれます。

キャストグローバル業務詳細:育児休業相談窓口

また、育児休業に関する手続きは多岐にわたる上、複雑なスケジュール管理やご本人様とのやりとりが不可欠です。弊所では、それらをまるごとお任せいただける「産休・育休てつづきパック(休業管理支援サービス)」もご用意しております。

詳しくは、育休相談窓口代行ご案内(PDF)をご覧ください。